東亜グラウト工業株式会社

今年の『水循環に思いをはせる日』記念イベントは、ブルーフラッグ認証を有する神奈川県逗子海岸において、水循環の一環である『清掃』を社員が体験することになりました。
逗子市には複数のビーチクリーン団体がありますが、『水循環』を活動指針に掲げている735style(ナミコスタイル※)というボランティア団体に指導をお願いしました。
※ナミコとは、『浪子』というこのエリアの通称

735styleは毎月第一日曜日の7:35から1時間のビーチクリーンを開催している10名ほどのボランティア団体で、参加者は市民のみなさま。 多い時には100名もの市民参加があるという、人気の団体です。
せっかくなので、ビーチクリーン終了後に735styleの方々からお話を伺いたいと、当社社長を交えたパネルディスカッションを開催することになりました。

BeachClean

11月3日(日)7:35
山口社長、南洞執行役員を筆頭に、社員8名が逗子海岸の県営駐車場ロードオアシスに集合。家族参加も多いと聞き、子供を連れてきた社員もいます。
秋晴れの空の下、爽やかな風に、早起きをしてまだ眠かった子供たちも元気な笑顔になりました。
735styleのフラッグの元に続々とボランティア市民が集まり、最終的に参加者は80名ほど。
朝礼では、当社が参加することをご紹介いただきました。

  • 134号線にあるロードオアシス
  • 反対側には青い海が広がっています

『青い空、青い海、白い砂浜』でのビーチクリーンを想像していましたが、当社が割り当てられた場所は山の下の小さな河口でした。秋は海岸のゴミは少ないそうで、もっともゴミが集まるのは河口だそうです。
揃いのユニフォームで勇んで歩いて行きましたが、河口へ降りる階段は細く、手すりもありません。滑りやすい石の階段を恐る恐る降りて行きます。

  • 右の山の上は、日本のビバリーヒルズと言われている披露山住宅
  • 慎重に階段を降りていくと、目の前には山からの水が滝となって流れていました

階段を降りると、そこに広がるのはなんとも不思議な景色。薄暗い134号線の高架下へ、海からまばゆいばかりの朝陽が差し込み、足元の川が海へと流れていきます。
河口というとヨットが停泊しているような大きな川を想像してしまいますが、目の前の山の水が小さな滝となって海に流れ込む景色は、まさに『自然の循環』を目の当たりにするようでした。
小さいとはいえ河口は河口。大物のゴミも堆積しており、男性陣は大きな流木を引き揚げました。

  • 海のほうは朝陽でキラキラと輝いています
  • 大きな流木を拾ったものの、とても重たい
  • みんなで引き揚げます
  • 魚網が川の流れを堰き止めていました

PanelDiscussion

ビーチクリーン終了後は相模湾を望む岬の突端にあるレストランsurfersに移動。
通常は音楽の演奏をするというステージに、735style代表の戸田誠さん、副代表の上野直人さん、当社の山口社長と南洞執行役員が登壇し、2022年ミス日本 水の天使 横山莉奈さんの司会によるパネルディスカッションが始まりました。
テーマは『美しい海のための水循環』。
聴講者はビーチクリーンに参加された市民のみなさまと当社社員。逗子市だけでなく隣接している葉山町からの参加も多くみられました。
暖かな日差しの中、開放的な空間で、聴講者はドリンクを片手にリラックスモード。拍手や笑い声の飛び交う陽気なスターを切りました。

  • 22年ミス日本『水の天使』
    横山莉奈さん
  • 東亜グラウト工業(株)
    南洞誠 執行役員
  • 東亜グラウト工業(株)
    山口乃理夫 代表取締役社長
  • 735style
    戸田誠 代表
  • 735style
    上野直人 副代表

まずは両団体の説明。
735styleはサーファーで構成されているため、ビーチクリーンの他に『磯焼け対策』や『海難救助訓練』など、素人にはなかなか難しい海の課題に取り組まれているとのこと。
磯焼けとは、藻場で増えすぎたウニが海藻を根こそぎ食べてしまうことにより藻場がどんどん減ってしまうこと。代表の戸田さん曰く『海の砂漠化』だそうです。
全国で起きている問題のようですが、逗子海岸も例外ではなく、735styleがウニの駆除を始めたところ、多い時には300名ものボランティア参加があるほど大きなイベントになったそうです。

さらに、駆除したウニを農家へ運び、粉砕、堆肥化することで、ウニの生命を野菜へと循環させていると聞き、徹底した循環ぶりに会場からは感嘆の声が上がりました。
カルシウムやマグネシウムの含有量が多く、堆肥というより有機性肥料といえるウニ堆肥で育てた野菜は、とても甘く味が濃いそうです。

  • 団体立ち上げのいきやつや活動内容を語る戸田代表
  • 市民も参加するウニの駆除
  • 大量のウニ
  • 塩分を除去したウニに、牛ふん、米ぬかを加えて発酵を繰り返します

735styleのメンバーには、東京消防庁勤務の方も。ジェットスキーやサーフボードでの本格的な海難救助訓練も行われています。

当社の事業内容をお話すると、両団体とも水や環境保全への熱い思いを持っていることを確認し合うことができ、お互いへのリスペクトが高まりました。

話題は世界の水問題に移り、「枯渇」「汚染」「偏在」についてを山口社長が説明。
日本はいかに水資源に恵まれた国であるか、その上で、解決しなければならない課題は何か。
企業がなすべきこと、自治体が取り組むべきこと、個人が心がけることなどを話しました。
これを受けて戸田代表からは、自分たちの出来ることは市民一人一人の環境意識を上げて行くこと、と語っていただきました。上野副代表からは、ビーチクリーンで拾えるようなゴミは氷山の一角で、海底に沈んでいる大量のゴミについての問題提起もありました。

シンガポールに赴任している南洞執行役員から、水源の乏しいシンガポールでは使用済水(下水)で作ったビールを販売している話が出ると、会場からは小さな悲鳴が。

  • クイズ形式で水資源状況を説明する山口社長
  • 使用済水で作ったビールを飲んだことがある二人
海底のゴミについて語る上野副代表

水に関わる問題の中でも、昨今の日本で大きな問題となっている豪雨災害へ話題が移り、災害対策についてのディスカッションに突入。
土砂災害による死者が出てからの逗子市では、急ピッチで斜面防災が進んでいるとのこと。とはいえ防災に注力するあまり地球に害があっても困るし、環境を重視するあまり不便(危険)になっても困るというのが、市民の心情だそうです。山がだめになると海もだめになることを、聴講者のみなさんはよくご存知でした。
そこで、リングネットなどの斜面防災技術をお話すると、コンクリート以外の選択肢があることに興味を持っていただけたようです。

横山さんからは、『水の天使』と『みどりの大使』が担う役割と絡めながら、海と山の重要な結びつきや、棚田が小さなダムとして防災に役立つことなどをお話いただきました。

  • 横山莉奈さんの司会も舌好調
  • 会場ともトークをして一体感が生まれます

その後、聴講者との質疑応答では、小学生から『僕が大人になっても、今と同じ魚が釣れますか?』という、可愛いけれどドキリとする質問が飛び出しましたが、これには上野副代表から素敵な回答が。
『温暖化の影響で南の魚が北上しているから、今、見ている魚はいなくなっているかもしれない。だけど、新しい魚に出会えるかもしれないよ』と。
マンホールトイレについての質問もあり、逗子市民の環境と防災への意識の高さを感じました。

  • この日のために当社がオリジナル製作した『竹トング』を進呈
  • 当社からはご寄付を、735styleからはウニ堆肥を。アリガトウの循環です

環境汚染、温暖化、防災と話題は尽きず、あっという間に時間切れとなった今回のパネルディスカッション。
当社は企業としてなすべきことを、縁の下の力持ちとしてコツコツと続けていく。735styleはビーチクリーンという親しみやすい活動をフラッグに、水への意識を個人レベルで啓蒙し続けていく。
異なるステージで活動しながら、美しい水循環への志をひとつにした、同士の絆が生まれたようです。

全員で記念写真

この日の模様がタウンニュースの取材を受けました。
当社Youtube チャンネルでは第一弾をアップしています。

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